東北３県のこだわり食材でスープを作りました。

色々なご縁で出会った東北の食材を使ったスープを、新国立競技場のオープニングイベント「HELLO, OUR STADIUM.」で配布します。岩手・宮城・福島の魚介や野菜で作ったからだにも心にもやさしいスープです。

『新国立競技場のオープニングイベント「HELLO, OUR STADIUM.」で、被災地を応援するスープをいっしょにつくってもらえませんか？』　
今回の取り組みは私たちの元に届いた１通のメールからはじまりました。
３・１１東日本大震災の被災地である岩手・宮城・福島の特産品を使ったスープを作り、イベントに来た参加者のみなさんに味わっていただく。１杯のスープを通して、生産者の想いをもっと知ってもらえたら、前を向く東北の元気を感じてもらえたら、それはきっと心に鮮明に残っていくはず。
復興庁とのコラボレーションで、生産者の想いとスープストックトーキョーの想いを重ね、特別なスープをつくることに決めました。

今から8年前　2012年秋、東日本大震災からの復興に向けて取り組んでいる方々の商品を買い支えたいという思いから「女川産さんまのつみれスープ」が誕生しました。それから毎年秋になると、お客さまだけでなくスタッフも心待ちにするようなメニューになっています。

このスープに欠かせないのが、宮城県の東端に位置する小さな港町・女川にあるワイケイ水産さんの「さんまのすり身」です。目利きの確かさでプロの間でも「質が良い」と評判の女川のさんま。ワイケイ水産さんでは「食は命をつなぐもの」を合言葉に、魚の大小に関わらずおいしさを丁寧に引き出し、すり身にしています。今回のスープに、私たちは迷うことなく、この女川さんまのすり身を使うことにしました。

岩手・宮城・福島の食材を組み合わせてつくる特別なスープ、さんまのおいしさが丸ごと生きている女川のすり身をどんなスープに仕立てるか、福島と岩手での食材探しがスタートしました。

※女川産さんまのつみれスープのストーリーはこちらから：【産地だより「さんまは、女川の宝物」】

女川さんまのすり身に負けない真っ直ぐな味の野菜を探して、私たちは「郡山ブランド野菜」をつくる福島県郡山市の鈴木農場さんを訪ねました。

猪苗代湖から引いた水ですくすく育つ郡山の冬野菜。口に入れた途端、その味の濃さに驚くとともに、「郡山に特産品がないなら作ってしまおう」と日々研究しつづける鈴木農園さんの熱い想いがこもっていました。

「震災のあと風評被害で大変な時もあったけれど、やりたいことが明確になりました。他と同じ人参をつくっていてもしょうがない、直販でお客さまの声を聞きながら、いいなと思った野菜は色々つくってみる。食べたいと言ってくれる人のところへ行けばいいと思っています」。
目にも鮮やか、みずみずしさも甘みも食感も抜群。キャベツ、ポロ葱、白菜、人参、メークイン、どれをとってもスープの中で際立つ野菜たちです。

岩手県沿岸部、三陸は日本三大漁場と言われる豊かな海。そのほぼ真ん中、ラグビーで熱く盛り上がる釜石は漁業の町でもあります。そこで私たちはとびきりの鮮度を誇る食材に出会いました。

震災で壊滅的な被害を受けながらも「新しくはじめるチャンスだと思った」というヤマキイチ商店さんは、三陸のホタテを質で極めることにチャレンジ。それまでどこにもなかった、水揚げされても泳ぐほどに鮮度のいい「泳ぐホタテ」を全国に届けています。

「ホタテ一枚一枚丁寧に、おいしいと思ってもらえるものを一つずつ、そういう気持ちでやってきました。応援のために買ってもらうんじゃなくて、おいしいから選ぶというのが広がっていくのが理想です。」

冬のホタテは第２の旬。甘みと旨みのバランスに優れ、おいしいだしが出るためまさにスープにぴったり。ホタテの隅々から出るいい味と身がしっかりとしてジューシーな貝柱を楽しめます。

こうして、被災地の生産者のみなさんと私たちの想いを重ねたスープが出来上がりました。
どうぞじっくりお楽しみください。そして、機会があったらぜひ東北の産地を訪ねてみてください。

【釜石産ホタテと郡山野菜のクリームスープ】
岩手県釜石市で採れたホタテと、福島県郡山（こおりやま）ブランドのポロ葱・キャベツを使ったスープです。バターで炒めると旨味が増すポロ葱と冬甘菜（ふゆかんな）と名付けられた煮込むと甘くなるキャベツを、ホタテと合わせてミルクで仕上げた優しい味わいです。

【女川産さんまと郡山野菜のトマトシチュー】
宮城県女川（おながわ）町の名産・さんまと、福島県郡山（こおりやま）ブランドの人参・白菜を使ったトマトシチューです。さんまのすり身を香辛料と合わせてフライパンで焼き付け、旨味の詰まった野菜と煮込みます。さんまの旨味がトマトの酸味とスパイスの香りに溶け込み、食欲をそそる具沢山の一品です。