七草粥は、新年1月7日の「人日(じんじつ)七草の節句」に食される日本の伝統食のひとつ。一年間の無病息災を願って、またご馳走が続くお正月で弱った胃腸を休めるために受け継がれてきました。スープストックトーキョーからも、1年に1度の特別なメニュー「瀬戸内産真鯛の七草粥」を1月7日に数量限定でお届けします。
そんな七草粥の主役といえば、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの七菜。縁起の良いお粥を彩る青々ときれいな春の七草ですが、一体どんなところで、どうやって作られているのでしょう。その魅力を探りに、スープストックトーキョーで使用している春の七草の生産者、岩崎ファームの皆さんにお話を伺いに神奈川県の三浦海岸を訪れました。
青々とした新鮮な春の七草は縁起物として私たちに幸せを運んできてくれます。その背景には生産者の方々の七草栽培にかける情熱や努力があります。
「七草って縁起物だからちゃんと上質なものを届けたい。青々とした新芽のみを摘んで良い状態で7日を迎えられる準備をするのが私たちの仕事です。」
そう語るのは岩崎ファーム代表の岩崎さん。
その道30年という、関東きっての七草の生産者である岩崎ファーム。120万パックも世に送り出される七草は、全て手作業で作られ出荷の時期を迎えます。お正月目前のこの時期、ファームはいつにもまして大忙し。
「七草って、手間がかかるんです。春の七草といったらいっぺんに七草粥に入っているものなので忘れてしまいがちなんですけど、もともとは別々の場所で育った野草をかき集めてお粥に入れていたんですね。そのため、七草全てを同じ収穫時期に合わせて育てること自体が難しいし、どれもか弱い植物なので病気にもなりやすいんです。でも新年早々口にする縁起物なので若い新芽の青々としたところを召し上がっていただきたいっていうのが正直なところ。だから“7つ同時に同じ場所で作って、新鮮なまま市場に出す”ということが、七草づくりのとても難しいポイントなんです。」
岩崎ファームには七菜それぞれに適した畑やハウスがあります。植物だって人と同じで育ち方はそれぞれ。品種ごとに合った育成方法を丁寧に行う。そうしなければデリケートな七草は病気になったりうまく生育しなかったりするのだとか。この日岩崎ファームで行われていたのは沢山の葉っぱがついたせりの束から新芽のみをひとつひとつ手作業で摘むという作業です。
すでに葉の付いたきれいな新芽は、その後乾燥させて冷却し鮮度を保って出荷。まだ葉が出ていない小さな芽は選り分けて、さらに成長を促すために水槽につけて生育を早めたり。この作業の他にも、余分な根っこの裁断や洗浄など、想像していたよりも沢山の工程があります。このような工程を7種それぞれにあったやり方で丁寧に行っていく。
そんな手間隙を経て、新鮮な七草が1月7日の七草の節句に私たちのもとに届くのです。
岩崎ファームで七草の栽培を始めてから30年。老舗としてノウハウを知り尽くした今もなお、新しい栽培方法に挑戦しているのだと岩崎さんは話します。
「物事って常に進化しているんですよね。お客さんに求められることだってそうだし、技術だってもちろんそう。」
1月7日に合わせて出荷される七草。たとえ1種類でもかけてしまえば商品になりません。品種によっては、出荷直前に収穫した方がよいものもあれば、乾燥させて冷却しておくものもあり、そのタイミングを見計らう目利きも長年の経験によるもの。そんな岩崎ファームのみなさんでも、七草づくりは難しいと言います。
「その年の気候や苗によっても、毎年同じようにできるわけではありません。どんなに手間隙かけても、病気にかかってしまえばすべてダメになる。だからこそ、いかにいい状態で収穫を迎えられるか、収穫後に鮮度を保って市場へ卸せるか、それぞれの工程を見直しながら常にトライをしてアップデートしていってますよ。毎年もっといい方法はないかと試行錯誤しながらね。上手くいかなくても、やってみなければ始まりませんからね!」
たくさんの方の努力と情熱と手間隙があってこそ、新鮮な状態で店頭に並ぶ七草。
そんな想いの詰まった春の七草を使用して「瀬戸内産真鯛の七草粥」を、今年もスープストックトーキョーからお届けします。新たな一年を健やかにお過ごしいただけますように。
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スープストックトーキョーのスープは、土地や人、文化や食材との出会いから生まれています。思いが重なり生まれたこの縁起物のお粥を、今年も1月7日限定でお届けします。
商品名:「瀬戸内産真鯛の七草粥」
販売期間:1月7日 ※数量限定のため売り切れ次第、販売終了する場合がございます
取扱店舗:Soup Stock Tokyo (一部店舗を除く)、家で食べるスープストックトーキョー一部店舗
※テイクアウト、デリバリーもご利用いただけます