Soup Friends

Soup Friends Vol.91 / 畠山千明さん

ことし、わたし 着飾る

自分のために着飾ることの重要性とは。モデルとしても、一児の母としても注目を集める畠山千明さんに話を聞きました。

結婚や出産、モデルデビューと、日常が大きく変わったこの数年間。反対に変わらないことはありますか。

いつも、きちんとしていることです。着飾ることは私にとって、お洒落というより身だしなみ。「綺麗に見られたい」というよりは、自分自身が気持ちよくいるために、頭からつま先まですべてを整えていたいんです。

子育て中もきちんとし続けるって、大変そうに感じます。

毎日100%である必要はないんですよ。ちょっと区役所に寄るくらいの外出なら、しっかりリップを塗るだけでもいい。子どもと公園に行くときは、普通のデニムだけど、かわいいウエスタンブーツを合わせたり。お洒落しすぎて子どもに「触らないでね」と言ったりはしたくないから、休日は動きやすさも大事ですね。無理のない範囲で、自分のテンションが保てる格好をしていると「達する」んです。

「達する」とは?

私の中の何かがマックスになる感覚ですね。その日一日、自信を持って行動できるようになる。反対に、コーディネートが気に入らないと、着替えるために家に戻ることもありますよ。3歳の娘も、もう当たり前に付き合ってくれます(笑)。

自分らしさを貫くスタイルは、昔からですか。

いいえ、私は10代の頃、ギャルだったんです。とにかく「人と同じ」になりたくて(笑)。それに窮屈さを感じたことがきっかけで、上京して古着屋で働くようになって、「人と違うこと」が素敵だなと感じ始めました。さらに大きく価値観が変わったのは、娘を産んでから。育児の情報を調べていたら、自分のスタイル含め、親としてどう在るべきか分からなくなってしまったんです。

どうやって乗り越えたんでしょう。

世の中にいろんな人がいて様々な方法があるのに、世間体ばかり気にしても何も守れないと気づいたんです。だから自分のやり方を見つけるためにも、モデルという仕事を始めました。多くの人と出会って感性が磨かれるうちに、自分自身のスタイルを持つのが一番いいと気付いて。とはいえ、も人の価値観に流されそうになるときはあります。

たとえば?

娘が青い服を選ぼうとすると、つい赤を勧めてしまうんです。娘のことだと、謎の「母親フィルター」がかかっちゃう。子どもを通じて、自分の偏った価値観に気づかされることが多々あるから、子育ては自分を省みるにも良い経験ですね。

働くうえでのポリシーは何ですか。

できることをやりきる、ですね。私はデビューも遅かったし、子どももいるので海外の仕事は多くはできない。他のモデルに比べれば、できることや時間が限られています。だから、情報や意見に惑わされず、支えてくれる人たちに感謝して、やるべきことにだけ集中する。一番大切なのは家族だから、頑張りすぎなくていいと思っています。

頑張りすぎないって、難しいですよね。

明日のことは今日やらなくていい。自分なりの最善を尽くして、今日一日をただ、毎日頑張っていけばいいんです。焦っても気持ちを消耗させるだけだし、娘もそれを感じ取ってしまいます。それでも半年に一回くらい、すごく落ち込んだときは、娘を夫に預けて、ひとりで銭湯とサウナに行って、すっきり自分を立て直します。安上がりでしょう(笑)。

今年始めたいことは何ですか。

モデルだけでなく、言葉で伝えることをしていきたいと思っています。たとえば「こう在るべき」「こうじゃなきゃだめ」という枠の中で苦しめられているママたちに「リラックスしていこうよ」って伝えたい。私は子育てが本当に楽しいから、No Ruleでもいいんだよってことを、身をもって表現していけたらいいですね。

畠山 千明(はたけやま ちあき)

ヴィンテージショップバイヤー、フリーモデルを経て2017年よりモデル事務所に所属。一児の母である。バズカットの火付け人であり、独自のスタイルとセンスの高さからスタイリストとしても活躍する。唯一無二のファッションアイコンとして世界有数のフォトグラファーから撮影のオファーが絶えない。

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