Soup Friends

Soup Friends Vol.80 / 篠田 真貴子さん

機嫌と私
働く「私」は毎日が忙しい。気分が落ち込むことだってある。
けれどそれは自分の意思で変えられると言います。
ほぼ日CFO として活躍する篠田真貴子さんからは、決断の時の心構えと、
機嫌のいい「私」を作る方法についてお話を伺いました。

──これまでビジネスの世界でキャリアを積まれてきた中で、さまざまな選択や決断のタイミングがあったかと思いますが、それを後押しした原動力は何でしょうか。

何か判断をしなければいけない時、いつも頭の中で2種類の力が働いています。「このままじゃダメだ」と逃げようとする力と、「自分はこうありたい」と進もうとする力。その2つを照らし合わせて自分なりの答えを出す。大きい決断から小さい決断までいろいろありますが、基本的には「やらないで後悔するよりは、やって失敗したほうがいい」という価値観ですね。それに、人に言われて決断して、失敗した時に人のせいにするのが嫌なんです。だから最終的には自分で決断をする。必ずしも全ての物事を自分が決められるわけではないので、その場合は誰かが決断したことでも、それに従うと自分が決めたんだ、と脳内変換する。その方が失敗しても納得し糧にできます。

──これまでの決断に何か共通項はありますか?

うーん、そうですね。「正義感」というと格好良すぎるかもしれませんが、「自分にとってこういうあり方がかっこいいよね」と思える方を選んできたかもしれませんね。若い頃は周りが褒めてくれることも原動力でしたが、いつしか経験を重ねるうち、人が言うことはあまりに適当だということが分かりました(笑)。たとえ上司でも、3年後は上司じゃなくなっている可能性もありますからね(笑)。そうなるとやはり、自分がいかに納得できるかが決断の決め手になってくるのだと思います。

──仕事と家庭(母親)を両立する秘訣を教えてください。

家庭では、自分の機嫌の悪さが原因で子どもに八つ当たりをするようなことはしたくありませんよね。そのためにはどうしたらいいか。私の場合は「自分が機嫌良くいられること」をするよう心がけています。全ての家事を完璧にこなそうとしなくていいと思います。例えば私の場合、睡眠はしっかり取りたいので、たとえ台所にお皿がたまっていようと寝る時は寝ますし(笑)、料理も好きなので、帰宅したらすぐに台所に直行して料理を作ります。そうするとスイッチが仕事モードから家庭モードに切り替わる。人によっては「食卓をいつもキレイな状態にしておく」ことかもしれません。何でも些細なことで良いんです。自分の気持ちが落ち着くことを見つけて、自分を機嫌良く保ってあげると、圧倒的に生産性も上がる。「ご機嫌は、実はその人の意思次第」だと思うんです。

──篠田さん個人として、これから挑戦したいと考えていることはありますか?

一つは絵が描けるようになりたいんです。「右脳で描く」というワークショップがあって、5日間カンヅメのハードな日程なんですが、小学生のような似顔絵しか描けない人でも、陰影が入った自画像が描けるようになるそうで。いつか参加できたらと思っています。あとは海外へも行きたいですね。子ども達と一緒に世界を見たいですし、仕事関連では中国が気になっています。ここ3年ほど中国でほぼ日手帳がとても人気で、日本と中国、言葉や文化も全然違うのに同じ手帳が使われている。それがとても興味深いなと。どうせなら現地で中国語を学んで話せるようになりたいとか…。たくさんあって困りますね(笑)

篠田 真貴子(しのだ まきこ)

株式会社 ほぼ日 取締役CFO。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行(現新生銀行)に入社。約4年勤めた後、アメリカへ留学。ジョンズ・ホプキンス大学国際関係論修士号、ペンシルバニア大学ウォートン校MBAを取得。その後マッキンゼー・アンド・カンパニー、ノバルティスファーマ、ネスレニュートルションで経営コンサルティングや人事、経営企画に携わる。2008年に『ほぼ日刊イトイ新聞』を運営する東京糸井重里事務所(現株式会社ほぼ日)に入社、2009 年より現職

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