Soup Friends

Soup Friends Vol.76 / 広末涼子 さん

10代でデビューして以来、CM・ドラマ・映画など多方面で活躍し、世代を代表する女優として活躍を続ける広末涼子さん。30代となった今、ますます輝きを増すその魅力の根底には、ひとりの役者として、女性として、常に挑戦し続ける姿勢がありました。年齢を重ね、さまざまな役柄を演じる中で見えてきた「女優」という仕事についてお話を伺いました。

──スープ(汁物)はお好きですか?スープにまつわる思い出があれば教えてください。

昔からスープは大好きで、初めて自分で買った料理本もスープの本でした。一人暮らしを始めた頃で、お料理はもともと好きだったのですが、当時は仕事が忙しくて時間がない。だからお休みの日くらいはゆっくり料理をしたい。そういう生活の中で「何を作ろう?」と考えたとき、スープだったら野菜もたくさん摂れるし、保存もできるし、自分のために料理を作るならスープだなと思って料理本を買ってみたんです。そしたら「スープっていろいろあるんだな!」って。もちろんお味噌汁もスープの仲間だし、ミネストローネにクラムチャウダー、定番のスープ以外にもたくさん作りました。中でも、ミネストローネは一度にたくさんの野菜を食べられるのでよく作りました。単純作業ですけど、野菜をみじん切りにしたり、きれいに四角に切り揃えて並べていくのも没頭できて楽しいし、それらを鍋に一気に投入するときの達成感があって好きでしたね。

──ご家庭でもスープはよく召し上がりますか?

家で食事をする時は、汁物はほぼ必ず食卓に並びます。和食の時は、お味噌汁やお澄まし、洋食にはコンソメスープだったり。やっぱり食事のときに温かいお椀があると嬉しいですよね。子供が生まれてから感じるのは、毎日の食事ってその子の健康や体の成長はもちろん、心の内面や習慣にも影響するということ。「食育」というと少し大げさですが、食は心の豊かさを作るものですよね。だから家族が口にするものはできるだけ自分で作るようにしています。手作りの料理には心を充たす力がある。

──今回映画『ミックス。』に出演されて、役柄のどのような部分に共感されましたか?

私が演じた弥生という女性は、面倒見が良い姉あねごはだ御肌。元気な性格で第一印象から好きな役でした。今回の作品は、主人公が二人とも不器用な性格。そんな不器用さを愛おしく思って、自分が皆を引っ張っていこうとする彼女の正義感、一生懸命さがすごく美しくて。大人になると、他人の目を気にして、自分の意見をはっきり言えなかったり、遠慮してしまうこともあると思うんです。けれど彼女は、自分に嘘をつかずまっすぐ正直に生きている。そんな生き方がかっこいいな、と思いながら演じました。

──撮影中、忙しいスケジュールの合間でもこれを食べると元気になれる食事はありますか?

撮影現場に入ってしまうと、どうしてもロケ弁中心の生活が続きます。そうすると、野菜はたくさん摂れないし、揚げ物が多くなったりで食事が偏りがちに。けれど撮影を乗り切るには、しっかりと食べてパワーを蓄えることも必要です。そういうとき私の場合は、手作りの副菜を現場に持参するようにしています。栄養バランスを補えるような簡単なサラダとか、極力手間をかけないシンプルなものです。忙しい時や疲れている時に手作りのものを食べるとホッとしますよね。何よりも気持ちの充実感が変わる。手作りの料理には心も充たしてくれる力があると思ってます。今までもこれからも、女優の仕事はチャレンジの連続

──デビュー以来、常にトップランナーとして第一線で活躍されている広末さんですが、これから挑戦してみたいことは?

若い頃は、30代になれば女優という仕事に少しは慣れてくるのかなと漠然と思っていたけれど、ありがたいことに10代でこの仕事を始めてから今まで常にチャレンジの連続です。昔は学生役がほとんどでしたが、今は仕事が忙しいキャリアウーマンを演じることもあれば、次の作品では専業主婦になることも。演じる役の幅がぐんと広がりました。それ以外にも既婚か未婚か、子供の有無、時代背景の違いによっても役柄のイメージがガラリと変わるので、勉強することも増えたし、役者としてのスキルを求められるようになってきた。それがいい緊張感を生んでいるのかも。

──今後ますます活躍の幅を広げられるのが楽しみです。

これから40代、50代と年を重ねていけば、また今とは違う役が求められると思います。そのたび自分が見えていなかった世界に触れ、視野が広がるんじゃないかと今からとてもワクワクしています。一つ一つの役と丁寧に向き合いながら、一歩ずつ階段を登っていきたいですね。私にとって「女優」という仕事は、若い頃に思っていた以上に大好きな仕事です。好きだからこそ、決して満足しきることがない世界だなと思います。精一杯努力して目標をクリアしても、上には上がいる。大人になって気づきました。それは役者に限らずどんな仕事にも言えると思うんです。仕事を通して世界が広がるし、人間としても成長できる。だからこれからも、作品との出会いを楽しみながら、役者としての経験を重ねて、女性としても豊かな感性を育んでいきたいです。

広末涼子(ひろすえ りょうこ)

1980年生まれ。高知県出身。94年にCMでデビューし、翌年ドラマ初出演。97年『20世紀ノスタルジア』で映画初主演。同作で映画賞の新人賞を総なめにし、以降、映画・ドラマ・舞台・CM などで活躍。 10月21日(土)からは出演作『ミックス。』が全国東宝系にて公開。

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