Soup Friends

Soup Friends Vol.60 / 小林聡美 さん

自然体で飾らない佇まいと、漂う穏やかな空気。数々のドラマや映画作品で小林さんが演じる登場人物はどれも、ご本人からにじみ出る印象がそのまま役柄に現れているように感じます。10/31公開の映画『犬に名前をつける日』では、愛犬を病気で亡くしたことをきっかけに「犬の命」をテーマに映画を撮り始める番組ディレクターを演じています。ご自身も猫と一緒に暮らす小林さんに作品を通して感じたこと、人と動物が幸せに暮らす楽しさについてもお話を伺いました。

──スープはお好きですか?

はい、寒い時期にはクラムチャウダーなんかもいいですよね。あとは野菜がごろっと入っているようなポトフもあっさりとしていて好きです。

──普段お料理はなさいますか?

職業柄外食をすることも多いので、胃が疲れたり食事が洋食系に片寄ったりしたときは家で和食を作ることが多いです。朝はパンと卵、コーヒーなど簡単に。自家製の豆乳ヨーグルトを食べたりもします。これがとってもおいしくて!玄米に豆乳を入れて発酵させて作るヨーグルトで、種菌に豆乳を足して作るんです。

──食に対するこだわりなどがあれば教えてください。

家では品目に気遣って一汁三菜を心がけています。以前はおかずごとにお皿も分けたりもしていたのですが、ある方のインスタグラムで一枚の皿にいくつかの料理が盛り付けられている写真をみて「この方が楽ちんだな」と気づいて。最近は一皿に盛り合わせることが多くて料理に合うお皿を探すのが楽しみの一つです。

──お芝居の世界に魅せられたきっかけや、その道に進もうと思われたエピソードを教えてください。

子どもの頃、テレビドラマに登場する役者さん達が、観ている人も楽しませるし自分たちも楽しそうに演じていた姿が印象的で、その頃から「お芝居の仕事っておもしろそうだな」と思うようになりました。

──映画やドラマ、出演される作品はどのように決められるのですか?

役柄に共感して出演を決めることが多いです。共感できなければなかなか気持ちが入り込めないので、演じる人物の性格や生き方に何かしら想いが重なったり、ひっかかる部分が決め手になることが多いです。役を演じることによってその人の人生を体験できるのは俳優の仕事のおもしろさかもしれませんね。

──今回の映画『犬に名前をつける日』に参加するきっかけ、経緯を教えてください。

以前、山田監督がメガホンをとった老人介護施設で暮らす保護犬のドキュメンタリー作品で、私は主人公の保護犬・むっちゃんの声を担当させてもらいました。私自身も動物(猫)と一緒に暮らしているのですが、動物を保護して救うなどのアクティブな活動に行動を移せなくても、作品を通して何かメッセージを伝えることができるとその時に感じました。その後今作のお話をいただきました。

──作品が完成してどんな感想をお持ちですか?ますますわかったことはありますか?

動物愛護センターの現状や、ペットを取り巻く実情は数多くの場面を目の当たりにしましたし、一方で彼らを助けようと懸命に取り組む人との出会いを通して、「人と動物とが幸せに出会える場所はどこなんだろう」と考えるきっかけになりました。また現場ではたくさんの動物に出会いました。彼らは言葉は話せなくとも、目で語りかけてくるんです。捨てられて保護されたばかりの犬は最初は怯えた眼をしているのですが、新しい飼い主に引き取られてからはいきいきとした顔つきに変わってくる。動物たちの心も、表情に現れるんだと実感しましたね。

──小林さんにとってペットはどんな関係ですか?

一緒に暮らす対等な仲間という感じです。

──映画に関してはどのような想いや原動力をお持ちとお考えですか?

映画は大勢の人が関わって作られるものですから、私自身は作品を作りあげるメンバーの一人だと思って参加しています。役者やスタッフの映画に真摯に向き合う姿勢や良い作品を作り上げるための熱意を感じると、自分自身も俳優として、ちゃんとしなければと思います。

──いま、お仕事以外で一番興味があることや気になることがあれば教えてください。

最近俳句を初めました。何人かのメンバーで句会を立ち上げて毎回ゲストを呼んで、月一回のペースで開催しています。句会で発表するのは予め用意した句が三つとその場で作る句が一つ。参加者ごとに、表現や季語の選び方もそれぞれユニークで、毎回新しい気付きが得られるんです。自分自身も句を詠むことで、普段の暮らしのなかで、人や景色や出来事を見渡すことが増え、発見もあったりで、とても楽しんでいます。

小林聡美(こばやし さとみ)

『犬に名前をつける日』 © スモールホープベイプロダクション 大ヒット公開中
1965年東京生まれ。1982年、映画『転校生』で初主演。ドラマ・映画と幅広く活躍しながら、エッセイストとしても「マダム小林の優雅な生活」など著書多数。主な出演作に、『かもめ食堂』(06)、『めがね』(07)、『ガマの油』『プール』(09)、『マザーウォーター』(10)、『東京オアシス』(11)、『紙の月』(14)などがある。

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