Soup Friends

Soup Friends Vol.53 / ルシール・レイボーズ さん

もっと写真を楽しんで欲しいという思いから京都で立ち上げた「KYOTOGR APHIE」は、今年の春(4/18(sat)~5/10(sun))3回目が開催される予定の、国際的な写真フェスティバル。この写真祭を立ち上げから企画、開催しているのが、写真家の女性、ルシール・レイボーズさんだ。作品に宿る独特な世界観のみならず、彼女の行動力や意思の強さには注目が集まっている。いま、彼女から日本はどんな風に見えているのでしょう。創造する力や、生み出す原動力の源についてお話を伺いました。

──スープはお好きですか?また、スープ(汁物)にまつわる想い出があればお聞かせください。

冬は温かいスープ、夏は冷たいスープ、いずれもスープは大好きです!もちろんお母さんが作ってくれた野菜のスープにはホッとさせられました。想い出深いものですね。フランスにいた子ども時代にはこの野菜スープにチーズを溶け込ませて食べていました。楽しくておいしい想い出です。

──日々食べることについて、何か工夫や習慣はありますか?

食はとても大切。私には小さい子どもが二人いるので、毎日たくさんの野菜、気分によって玄米か質のいいパンと、気をつかっています。京都には素敵なフランスのパン屋さんがたくさんあるんですよ。

──ルシールさんにとって「写真」とは何でしょうか?

時間、瞬間の美しさを捉えることです。周りの人や旅先で偶然出合うもの、その時に起こる感情からひらめきを得ます。周りに人には“Humanist Photographer”と言われます

──「KYOTOGRAPHIE」をはじめるきっかけになった想いを教えてください。

2011年、京都に引っ越した時に、仲西祐介さんと「KYOTOGRAPHIE」を立ち上げました。3.11の地震の後は、さまざまな事において大きな変換期でした。京都という街に出合っていた私たちにとっては、「KYOTOGRAPHIE」は、とても自然に浮かんできたアイデアで、やりがいのあるものでした。このフェスティバルは、寺院や昔からある家など、ごく日常に近い場所に作品を展示をすることで、一般の人とフォトグラフィーの距離が縮まり、近くなるのです。私たちは、このフェスティバルを通して、世界への窓を開き、話し合いを生み、フォトグラファーをサポートするという新しいステージを創りたかったのです。

──今回のテーマ「TRIBE-あなたはどこにいるのか?」を決めた理由を教えてください。

現在、多様にグローバル化が進む中で、同じアイデアや価値感を持つ人がいわゆるグループや、共同体に属したいと思う人が増えていると感じます。それぞれのアイデンティティや、または違いをも受け入れることが、同じ地球に共生するたった一つの方法になるでしょう。

──素晴らしい取り組みですね。観客や、写真家にとってどんな影響があると考えていますか。

私たちは、話し合いが生まれることを望んでいます。特に最近の日本では、他と違うということは、難しいことかもしれませんが、このフェスティバルのプログラムでは、それぞれお互いの違いを受け入れ、それを誇りに思うような空気が生まれました。参加するフォトグラファーにとっても、観客の人々にとっても影響があったはずです。

──京都のさまざまな場所を舞台にしていらっしゃいますね。写真と、空間の関係についてお互いに作用しあう効果や影響など、お考えをお聞かせください。

私たちには会場の選択がとても大切で、作品の持つ世界と展示する場所をできるだけ本質的につながるようにしなくてはならないと思っています。私たちは、遠近法に挑戦したり、ルールを壊すことが大好きです。フェスティバルの大きな目的の一つは、フォトグラファーと観客を近づけること。同時に、参加した人々は、京都の素晴らしさも発見することができます。フェスティバルに使用されている家の数軒は、普段はほとんど公開されていません。

──世界に暮らしてきたルシールさんだからこそ、感じる日本の良さと、もっとこうだったらより豊にかになるのに、と思うことはなんでしょうか。

初めて来日した時、日本人が持っている自然とのユニークな関係性はとても素晴らしいものだと思いました。遺産に対する日本人の深い意識が基となっている日本文化は永遠の財産です。片足を現在に、もう片足で過去に立っている感じ。これが魅力的なのです。

──ルシールさんの原動力になっていることは何だと思われますか?

私たちの子ども達にとって、よりよい世界になるための愛と希望。

──いま伝えたいことは何ですか。

自分を信じてください。あなたの持ってる人と違う部分は、あなたの宝物ですよ。

ルシール・レイボーズ(Lucille Reyboz)

1973年仏リヨン生まれ。幼少期をマリ共和国バマコで過ごす。ポートレート写真をメインに、雑誌、CDジャケットなど様々な分野で活動。2007年より東京在住。2011年に京都に居を移し、2013年、仲西祐介とともに国際写真フェスティバルKYOTOGRAPHIEを企画、開催。展覧会に「Sour ce」Phillips de Pury, NY(2007)、「Belles de Bamako」シャネルネクサスホール、銀座(2011)など。現在、京都在住。
KYOTOGRAPHIE 2015 フォスコ・マライーニ:「海女の島」:ルガノ文化博物館コレクション3/19(thu)~4/19(sun)の期間は、東京・表参道のPASS THE BATON GALLERYにて、KYOTOGRAPHIEのアーカイブ作品や過去の展示に使用した什器などを展示販売。4/18(wed)~のKYOTOGRAPHIE2015では、パスザバトン京都祇園店OPEN予定地を特別に解放し、フォスコ・マライーニの「海女の島」を展示予定です。

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