あけましておめでとうございます。
中学3年の夏、母が入院し、私が晩御飯を作らなければいけなくなった時がありました。
わかめと豆腐のお味噌汁を作ったら、父に
「具が少ない」とぼやかれたことを今でも思い出します。
確かに、母の作るお味噌汁は具沢山で、
わかめ、人参、大根、じゃがいも、玉ねぎ、豆腐と、いつも4~5種類の具がお椀を彩りました。
それまで特にお味噌汁の具材なんて気にしたことのなかった私でしたが、父にそう言われたらぎゃふんと言わせたくなり、
今日のお味噌汁の具は何にしようかなあと、
夏休みの間中考えていた記憶があります。
私が育ったのは東北の小さな漁港なので、わかめ、めかぶ、ふのりやあさり、しじみといった海の幸も、
祖父母の畑でとれる大根、人参、じゃがいも、ねぎ、みょうがを入れるのも、またその組み合わせを考えるのも好きでした。
その具沢山なお味噌汁がいつしか私の「スタンダード」になっていたので、
東京に出てきて、親戚や友人の家に招待され夕飯をごちそうになった時、
「え? お味噌汁の具材ってこんなに少なくていいんだ」とびっくりしたこともありました。
店でも自宅でも、スープを作っていると、ふと自分の家のスタンダードについて思い出します。
今の私のスタンダードは、チキンストックや玉ねぎの甘味など、たくさんの具材、自然の旨味から出汁をしっかりとったスープ。
実家の思い出と、この店での経験が、私のスタンダードを作り上げているのかもしれません。
よければ、お客様にとってのスタンダードなスープもこっそり教えてください。
今年もよろしくお願いいたします。