宮城県女川町の名産・さんまが主役の「女川産さんまのつみれスープ」。さんまのすり身で作る女川町の郷土料理”女川汁”にならって開発されたスープです。販売開始から12年、このスープには、さまざまな思いが重なり、繋がり、届けられています。
女川町は、宮城県東端の小さな港町。目の前には世界の三大漁場といわれる三陸の海が広がり、豊かな恵みと共に人々の生活があります。特にさんまは、全国で水揚げ量だけでなく、良質なものを見極める目利きが多いことで知られ、「女川さんまは一味違う」とプロの間でも一目置かれています。

季節を感じ、旬の恵みをいただく。日本の秋の食卓を彩ってきたさんまは、さまざまな要因で、旬の時期も変わり、高価なものになりつつあります。さんまを気軽に買って楽しむこともなかなか難しく、今や高嶺の花のような存在です。
Soup Stock Tokyoは12年間、秋のはじまりと共に女川で水揚げされた生のさんまですり身を作りスープをお届けしてきましたが、さんまの旬の変化から昨秋は1日限定での販売に。そのため2023年度からは、このスープの秋の販売を見送り、女川町と私たちが大切にする3月11日頃のご提供としました。
スープストックトーキョーが販売当初からさんまのすり身の加工をお願いしているのは、さんまをはじめとした鮮魚加工を得意とするワイケイ水産さんです。12年前の震災で被災した直後から町の復興には仕事が欠かせないと、ワイケイ水産の再出発を決め、今もなおこの地域で鮮魚加工を続けています。さんまのすり身を購買する一方で、スープストックトーキョーでも復興に向けて取り組んでいる町の何かになればと、女川産さんまのつみれスープの販売1杯につき10円をお客さまからお預かりし、女川町へ寄せてきました。昨年からはもう10円、女川町を祭りで盛り上げる「おながわ四季のまつり実行委員会」へ寄付をすることで、復興に向けて前に進む女川町を応援し続けています。

復興に向けて取り組んでいる町の商品を買い支えたいという想いから始まった女川産さんまのつみれスープの販売。気が付くと12年、食を取り巻く環境はすっかり変貌し、さんまは今や高嶺の花のような存在になってしまいました。しかし、女川に揚がる旬のさんまを全国に届けようと手を尽くしてくださる皆さんや、スープストックトーキョーが女川産さんまのスープを販売することを心から応援してくださるたくさんの方々により、私たちは今日まで「女川産さんまのつみれスープ」を販売し続けることができました。12年もの間、支えてもらって来たのは私たちだったのかもしれません。
私たちと女川をつなぐきっかけとなった、2011年3月11日の東日本大震災。あれから12年が経った今、私たちにできることは何だろうと、震災当日に店舗で働いていた店長たちが先日集まり、話し合いをしました。
災害があった日はいったいどんな1日だったのかを振り返り、店舗の様子、それぞれの行動やその時の気持ちを12年目にして初めてみんなで打ち明けました。「アルバイトスタッフを安全に帰らせるまで一緒に店舗で待機していた」「帰宅困難なお客様にスープを提供しつづけていた」、そして東日本大震災以降自身で備えていることとして「店舗から自宅まで歩いて帰る道のりはいつも把握している」「伝えたいことは言葉や行動に移すようになった。」など、改めて災害の体験を今に生かさなければと感じる機会にもなりました。当時はまだスープストックトーキョーに入っていないスタッフにも語り継ぐことで、万が一の時に行動できるチームでありたい。それと同時に、何気ない毎日を大切しよう、そういう気持ちが湧いてきました。毎年3月11日には、仲間やお客様にもあらためて日々の感謝を言葉で伝えたい、そう考えています。
「女川産さんまのつみれスープ」が私たちに大切なことを思い出させてくれるきっかけであるように、皆さまにとってもこのスープが大切な存在でありますように。

「女川産さんまのつみれスープ」の味の感想、そして未来へ向かって進む女川町へのメッセージなど。ぜひ皆さまの声をお寄せください。
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全国有数の水揚げを誇る宮城県女川町の名産・さんまのすり身で作ったつみれを、あご(飛魚)だしとさんま魚醤を使い、和風スープに仕上げました。具材には食感の良いなめこ、香ばしい焼き葱、そして女川町のさんますり身汁の作り方にならって豆腐を入れました。トッピングの柚子が香るとろろがアクセントになっています。
●商品名:「女川産さんまのつみれスープ」
●販売店舗:Soup Stock Tokyo外食店舗
※Soup Stock Tokyo たまプラーザテラス店は除く
●販売期間:2023年3月10日(金)、11日(土)数量限定で販売
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Soup Stock Tokyoのスープは、数多くの生産者とのパートナーシップによって成り立っています。女川のおいしいさんまも、刻一刻と変わる自然環境と真摯に向き合いながら、「おいしいから、全国に届けたい」、そう思い海とまちとを守り続ける方々がいるからこそ、私たちのもとに届くのです。Soup Stock Tokyoでは、このスープ1杯につき20円を「おながわ四季のまつり実行委員会」への寄付金や、適正な価格でさんまを買い続けるために使わせていただき、これまでもたくさんのお客さまに心を寄せていただいてきました。女川町の皆さんと思いを通わせながら、さんまを愛する町の心がぎゅっと詰まった一杯に、私たちも想いをのせて、今年も全国へお届けします。女川町から届いた恵みを、どうぞお召し上がりください。