2016/10/25(Tue)@東京・自由が丘

暮らしのじかん ~レモンとシロップと保存の話~


これまで毎月、Soup Stock Tokyoのテストキッチンで実施してきた「おいしい教室」。10月は、2016年4月にオープンしたばかりのalso Soup Stock Tokyoに場所を移して開催しました。


also Soup Stock Tokyoは「休日のスープストックトーキョー」をテーマに、親しい友人と食卓を囲みながらゆっくりと食事やおしゃべりを楽しめる場所を、という思いを込めて作った店舗です。

いつもゆったりとした時間が流れ、思い思いに過ごす人たちが行き交う自由が丘は、季節を楽しみながら「おいしいって何だろう」を考える「おいしい教室」にもぴったりの街でした。

自由が丘開催、第一回のテーマは「レモンとシロップと保存の話」

10月は秋も本番。国産レモンの旬も秋から冬です。Soup Stock Tokyoでは2009年の秋から、広島県生口島の瀬戸田レモンを使用しています。国産レモンは収穫初期の頃は緑色で若干酸味が立っていますが、次第に黄色に熟していきます。この日も、穏やかな瀬戸内の気候の中で育った鮮やかな緑色のレモンが届きました。

まずは瓶の煮沸殺菌をしながら、レモンや瀬戸内にまつわるお話を。イタリア南部で飲んだレモンスカッシュの思い出から、スマイルズが瀬戸内の豊島で手がけている「檸檬ホテル」に始まり、世界に「檸檬ホテルチェーン」を作りたいという内なる野望まで。

煮沸殺菌のポイントは、温度、時間、乾燥

瓶の煮沸殺菌は90度で5分、100度で30秒です。きちんと温度を上げれば長時間は不要。煮沸が終わったらザルなどにあげて水を切り、きれいなトングで新しい布巾に下向きにしてしっかり乾燥させます。

今日のシロップは、寒くなってきたのでレモネードによくあうコンフィチュールタイプを作ることにしました。フルーツは煮ないで瓶に入れ、加熱したシロップを回し入れて作ります。

砂糖も使い分け。

砂糖も数種類用意して、使い分けが出来ると料理の幅が広がります。今日はグラニュー糖、キビ砂糖、三温糖の3種類を用意しました。

ここで砂糖の使い分けの豆知識を。グラニュー糖は、一般的なジャムを作る際によく使われます。理由は糖の純度が高く、フルーツの色がきれいに出ること。真っ白なホイップクリームを作りたいときなどにもグラニュー糖を使います。

少し湿ったものが三温糖。上白糖に似ていますが、ほんのりとカラメル状に焦がした色がついています。焦がしているので、コク出しに使いたいときは三温糖を使うといいでしょう。

キビ砂糖は名前のとおりサトウキビからとった砂糖。ミネラル分の茶色が残っています。糖の純度は低く天然のやさしい甘さが特徴です。焼き菓子や和菓子をキビ砂糖で作ると、とてもやわらなか味に仕上がります。

シロップを自分で作ることのよさは、砂糖の種類や量の調整が出来るところです。砂糖をかけあわせたり、蜂蜜の分量を調整したり、オリジナルの分量で楽しみながら作ることができます。

この時期はレモンなど柑橘系に加えて、イチジクやブドウで作るのもおすすめです。

今回は、グラニュー糖ときび砂糖の二種類でシロップを作りました。ジャムやシロップを作るときには、琺瑯が適しています。果物の酸が溶け出し、ものによっては変色してしまうこともあるためです。

フルーツはあとから入れるので、砂糖、蜂蜜を入れたあと、水を加えて煮込んでいきます。煮込むときに、クローブやカルダモン、アニスを入れて作り、ホットワインを割ると・・・。寒い冬に至極の味わいです

皮がきれいなレモンが手に入ったらレモンチェッロを作っておくのもおすすめです。レモンの皮をピーラーで薄くむき、2~3個分をスピリタスで漬け込んでレモンの香りを移します。約1週間たったら砂糖と水をといたものを加えてまた漬け込みます。

煮込んでいく間、瓶にレモンをつめ、シロップが完全に溶けてふつふつとしてきたら、熱いうちに瓶の中に注ぎます

作ったシロップを使って、レモネードやレモンティー、レモンスカッシュなど思い思いのドリンクを準備し、ブランマンジェにもシロップをかけていただきます。

今回のレモンは、塩分を控えたい人にぜひ取り入れてほしいと商品開発の桑折は話します。人の味覚は酸味があると味を感じやすくなるため、レモンや酢、山椒を使うことで少ない塩分でも味を濃く感じやすくなるそうです。

おわりに。

暮らしが便利になり、一年中どんな食材も手に入るようになりましたが、私たちはもともと、旬に収穫した食材を干したり瓶詰めにして季節を問わず楽しむ知恵を育んできました。暮らし本来の姿に少し立ち返った気持ちになれるのも、このシロップ作りのよさかもしれません。自分たちで旬を楽しむと、暮らしと心がこれまでよりも少し豊かになる気がしてきます。

次回のおいしい教室も、どうぞお楽しみに。


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