Soup Stock Tokyo

ホフディラン・小宮山雄飛

Curry Friends 特別編
ホフディラン・小宮山雄飛 さん

これまで数々のカレーを食べ歩き、自らも腕をふるうほどの音楽界イチのカレー通、ホフディラン・小宮山雄飛さん。今月にはレシピ本『簡単!ヘルシー!まいにちカレー』(主婦と生活社)を出版されるなど、多彩に活躍される小宮山さんにカレーの魅力についてお聞きしました。カレーと音楽の意外な共通点を伺っていたら、何やら面白そうな企てが始まって・・・

自由で何でもあり。カレーに定義はない

──まず今日はカレーについてお話を伺うということで、私たちのカレーをご用意しました。Soup Stock Tokyo(以下、SST)のカレー、召し上がったことはありますか?

お店に入ったことはあるんですが、実はカレーはまだ食べたことなくて。このトマトのカレーは僕の好きな味にどんぴしゃですね!自分のレシピの中で基本にしているのがトマトを使ったチキンカレーなんですけど、多分僕が家で何気無くカレーを作ったらこんな味になります。

──このカレーは、かつてSSTに「トマトの無水スープ」というトマトの水分だけで作るスープがあったんですが、ある日、それを煮詰めてスパイスを加えてみたら「あれ?おいしいカレーになった!」というきっかけから生まれたんです。スープとカレーってすごく似てるんですよね。

そうなんです、カレーって基本スープなんですよね。でも本場インドに行くと、カレーといっても全く液体がなかったり、サラサラなスープ状のものだったり、形状もスパイスも辛さも様々。例えば蕎麦だったら蕎麦粉を使って麺状で、とか基本的なルールがあると思うんですけど、カレーは何を使わないととかこういう形状じゃないとみたいな決まりごとが全くない。意外とそういう食べ物って他にないんですよね。そういう自由なところが面白いなって思います。

──SSTも実はカレーが30種類近くあるんですが、インド風もあれば、タイ風、スリランカ風…、一皿ごとに味も全く違いますし、中にはラタトゥイユや麻婆豆腐をヒントに生まれたカレーなんていう変わり種もあるんです。

それは僕も提唱していて、前回、本のあとがきにも書いているんですが「カレーに定義はない」ってことなんですよね。今回の本でも「この本には、全てのレシピに1工程だけ書いていないことがある。それは最後、完成したらそれを“カレー”と呼んでください」と言っています。つまりカレー味のスパゲティでもサンドイッチでも、最後カレーと決めたらその料理はカレーになるんです。それだけカレーの懐は深い。

ホフディラン・小宮山雄飛

カレーの魅力って、極めれば極めるほど増えていくんです

──確かにカレーにはいろんな可能性がありますよね。これまで数々の名店の一皿を味わってきた一方で、レシピ本を出版するほどカレー作りもプロ級。そこまで小宮山さんを魅了する“カレーの魅力”って何ですか?

普通は何か一つの物事を追求していくと、最終的に一つの答えにたどり着くんだろうと思うんですが、カレーって極めれば極めるほど、魅力が増えてくるんですよね。頂上に到達する前に新たな興味がどんどん湧いてくる。自由でなんでもあり。それがカレーの魅力にはまって抜けられなくなる理由かな。

──新しいレシピ本はどのような内容になっていますか?

もともとNHKの番組がきっかけで生まれたものなので、日本全国の老若男女が作りやすく、手に入りやすい食材を使って作れるカレー、というのがテーマの一つになっています。カレー粉とスパイス両方使い分けながら、基本は近所で買えるもので。それが僕も面白くって。カレーって“男の料理”って言われることが多いように、知らないスパイスを専門店で買い揃えて、手間と時間をかけて…とか、趣味に走ることもあると思うんですけど、料理を知るにつれ、最近はいかに手軽に作れるかという方向に変わってきました。だからタイトルも「まいにちカレー」と名付けています。ハレの日に食べる料理ではなく、日常に作るカレー。だからだんだん毎日台所に立つ主婦の気持ちがわかってきました(笑)

──中でも印象的なレシピはありますか?

カレー炒め定食、ミルフィーユ鍋、ボンゴレロッソのカレーバージョン…。どれも本当においしいんですが、以前秋田へ行ったとき、とある中華料理屋のメニューに「カレーかけご飯」なるものがあったんです。「カレーライス」じゃなく「カレーかけご飯」。一体これは何なんだ!?って迷わず注文して。待っている間散々想像を膨らませた後に出てきたのが、鶏肉と細かく切った野菜を炒めて、ほんの少しのとろみをつけたものがご飯にかかった一皿。見た目は中華料理っぽいけどカレー味。それがすっごくおいしくて、その時出会った味を思い出しながら作りました。

スパイスを重ねて、音を重ねてカレーは音楽に通ず

──ミュージシャンとして活躍される小宮山さんですが、食への追求が音楽活動に影響を与えることはありますか?

ミュージシャンの中にもカレー好きな人って多いんですよね。トータス松本さんとの対談でも、音楽を作ることとカレーを作ることってある種共通点があるよね、という話で盛り上がりました。この曲はベースを出そうとか、ギターの音をもう少しこうしようとか、音を重ねていく過程と、カレー作りであればこのスパイスは強めにしたい、とか、食材とスパイスの組み合わせやバランスを考える工程ってすごく似ている。だからカレーは音楽に通ずるね、と。

ホフディラン・小宮山雄飛

──確かに、すごく似ていますね。

ということは「僕の作るカレーは僕の作る音楽と似てるんじゃないか?」「トータスさんの作るカレーはウルフルズっぽいカレーになるのでは?」と想像してみたり。いっそ「もしジム・モリソンだったら、ああいう曲を書くんだからこんなテイストのカレー作るんじゃないか?」みたいに、音楽からカレーが作れないか?って密かに企んでるんですよね。曲を聴いてイメージしながら作るんじゃなくて、むしろ自分にそのミュージシャンを憑依させて料理するみたいな(笑)。そんなことができたら面白いなって思ってます。

──SSTのワークショップ「おいしい教室」でも、以前そんな回がありました。「こんな時にこんな人と食べたいカレー」とテーマを決めて、そのテーマに合った食材やスパイスを組み合わせて行って。実際「クーラーの壊れた日に食べるカレー」「おじいちゃんと孫と食べるカレー」とか様々で、最後にみんなで試食するんですけど、どれも納得の味。音楽だったら例えば「クローブは香りがしっかりしてるからベースっぽいね」とか「軽快にするためにこのスパイス入れました」とか、色々と広がりそうですね。

それ、いいですね!音を分解してスパイスに例えて、スパイスの特徴についての説明も交えながら。やりましょうか?「音楽とカレーの会」。曲を選んで、そこからカレーを作って。歌詞に注目してもいいし、音からイメージを膨らますもよし…。何だか面白くなりそうですね。

ホフディラン・小宮山雄飛(こみやま ゆうひ)

ホフディラン・小宮山雄飛

ミュージシャン/渋谷区観光大使 クリエイティブアンバサダー。1973年原宿生まれ。96年よりバンド「ホフディラン」のボーカル&キーボードとして活動を開始。音楽以外では映画や書籍など様々なカルチャーに精通。なかでも食通として知られ、食にまつわる連載や多くのテレビ、ラジオ番組に出演し”音楽界のグルメ番長”の異名を持つ。2015年に、自身が生まれ育った渋谷区の観光大使 クリエイティブアンバサダーに就任。

「簡単! ヘルシー! まいにちカレー」
発売:2017年6月9日(金)定価:本体1,600円+税 出版:主婦と生活社

各所から絶賛いただいた小宮山雄飛初のカレーレシピ本「旨い! 家カレー」から早1年。満を持して、今年も小宮山雄飛がカレーレシピ本を出版します!NHK「趣味の園芸 やさいの時間」で話題となった〈旬のやさいカレー〉全レシピに加え、新たなオリジナルレシピも掲載!また特別対談企画ではトータス松本さんをゲストに迎え『ミュージシャンにカレー好きが多い理由』『スパイス愛について』など真剣対談!コラムではレシピ考案のコツや「やさいの時間」の裏話まで収録、読み物としても楽しいまったく新しいレシピ本です。

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