Soup Stock Tokyo

野宮 真貴

Soup Friends Vol.90
野宮 真貴 さん

ピチカート・ファイヴ3代目ボーカルを経て、元祖渋谷系の女王として聴く人々をロマンティックな世界へと連れ出してくれる野宮真貴さん。その可憐で優美なパフォーマンスやスタイルは国内外や世代を問わず、大きな影響を与えています。唯一無二の存在感できらめき続ける野宮さんに、華やぐ季節の過ごし方についてたっぷりお話を伺いました。

自分の味方は、自分

──シンガーとしてのデビュー前に、会社員時代があったと伺いました。

もともと歌が好きで、幼い頃から「自分は歌手になる」と自分で決めていたんですね。私は81年がデビューで、ピチカート・ファイヴに入るのが90年だったんですが、デビューする1年前は会社員をしていました。その1年間は、会社のタイムカードを17時ぴったりに押して、リハーサルスタジオに行く生活でした。もちろんお仕事ですから、しっかりと取り組んでいましたが、時々仕事をしているふりをしながら、歌詞を書いたりね(笑)。必ず歌手になって成功すると信じていたし、「会社員の私は、仮の姿だから」とみずからを励ましていましたね。

──ご自身で「自分」を信じていらしたんですね。

そうですね。当時、音楽もファッションもがらっと変わった時代だったんです。ニューウェーブに出会った瞬間に「私はこれだ!」と思いました。縁あって、会社を辞めてついにデビューをした後も現実は厳しくて、いまひとつデビューアルバムが売れなかったんですね。当時はCMソングのボーカルや他のアーティストさんのバックボーカルなどをして、とにかく音楽の近くに自分の身を置こうとしていました。そんな中、ピチカート・ファイヴのレコーディング現場に出向いたことがきっかけで、レコーディングやツアーに参加するようになり、後に3代目メインボーカルへ。紆余曲折ありましたが、とにかく自分が自分の味方であるように心がけてきました。

華やぐ季節も、自分らしく

──野宮さんにとって、12月は1年のなかでどんな月でしょうか。

1年の終わりに、1年を振り返る。私はシンガーという職業ですので、この1年いい歌が届けられたかしらと振り返ります。ピチカート・ファイヴ時代は、クリスマスイベントなどで働いていることが多かったのですが、この数年は家族でおしゃれをしてお食事にでかけています。今は息子もすでに成人ですが、小さい頃からシャツやジャケットを着たり、テーブルマナーも学べて、いい機会になります。最近はカジュアルなファッションが主流ですが、しかるべき場面ではフォーマルを楽しんで装えることも大切です。「よそいき」というか、日常にそういったメリハリをスパイスのように取り入れています。

──この時期に食べたくなる料理はありますか?

クリスマスの前後を家族と家で過ごす年もあるのですが、私の場合は蟹を食べたくなります。私は北海道生まれなので、ふだんから魚介類を好んでいただきます。一般的には七面鳥を焼いてというイメージもある時期ですが、私は新鮮な蟹を取り寄せて、大好きなシャンパンと組み合わせるのがお気に入りですね。蟹も赤いので、クリスマスにはなんだかぴったり合うなぁと思ったりして(笑)。ささっと茹でてシンプルに食べるのがおいしいですね。

──もらって嬉しい贈り物や、贈り先に喜ばれた贈り物はありますか?

親しい人にプレゼントを贈ることも多いこの時期、私は贈り物にCDをおすすめしています。「音楽を贈る」というのは少し勇気がいるけれど、想いが伝わりやすいと思うんです。最近はアナログレコードに光が当たるようになってきたりして、この時代だからこその価値があると感じています。自分を想って贈られる曲は記憶に残りますし、自分の好きなものを一緒に聴いてほしいという気持ちが嬉しいですよね。それと、この季節って、人のためだけじゃなく、私は自分をねぎらったり、ほめてあげていいんじゃないかなと思うんです。きっとこの1年、それぞれがんばっているんですから、自分も大切にする時期にできたらいいですね。

「華がある人」の特徴

──野宮さんが思う、「華がある人」ってどんな方でしょうか。

自分の好きなこと、例えば仕事だったり、おしゃれだったりを迷わずに楽しんでいる方ですね。時には、お洋服もお仕事もスタイルも、「自分が何を好きか」が分からなくなってしまうことがあるかもしれません。そんな時は「人にほめられたこと」をヒントにしてみてほしいです。「好き」と「似合う」はちがうかもしれないけれど、自分に何がフィットしているのか、周りの人が気づいてくれたら、それを信じてやってみる。お仕事もそうだと思うんです。他人から言われて気づき、それが「好き」に出会うきっかけとなって、心が躍る瞬間に出会わせてくれるはず。

野宮 真貴(のみや まき)

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ピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリストとして、90年代に一世を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こし、 音楽・ファッションアイコンとなる。2018 年はデビュー37周年を迎え、音楽、ファッションやヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストなど多方面で活躍している。2012年から渋谷系とそのルーツの名曲を歌い継ぐ音楽プロジェクト「野宮真貴、渋谷系を歌う。」を行っており、その集大成となるベストアルバム「野宮真貴 渋谷系ソングブック」をリリース。エッセイ第2弾本「おしゃれはほどほどでいい」、電子書籍「おしゃれかるた」(幻冬舎刊)も好評発売中。

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