Soup Stock Tokyo

はな

Soup Friends Vol.59
はな さん

今月のスープフレンズはモデル・タレントのはなさん。高校生でモデルとしてのキャリアをスタートして以降、テレビの司会やナレーション、絵本の翻訳など活動の幅を広げられているほか、ご自身の東洋美術への深い造詣から仏像にまつわるエッセイを出版するなど多彩に活躍されていらっしゃいます。女性らしいチャーミングさと凛とした芯の強さを併せ持つはなさんに日々の食に対する姿勢やアートとの関わり、お仕事に取り組むための原動力についてお話を伺いました。

思い出の味はパリのオニオングラタンスープ

──お料理はなさいますか?

はい、基本的に料理は毎日作ります。毎朝のお味噌汁も欠かせません。ここ数年は京都から野菜を取り寄せていて、旬の野菜を使ったポタージュもよく作ります。素材の持ち味を活かすためコンソメは使わず、バターで玉葱と野菜を炒めて味付けは塩のみ。牛乳で仕上げるシンプルなスープです。野菜を新鮮なうちに使いきりたいときはスープにすることが多いです。

──スープ(汁物)にまつわる思い出があれば、ぜひ教えてください。

パリで食べたオニオングラタンスープは思い出深いですね。夜遅くに現地に到着してスタッフと夕食に出かけたときはオニオングラタンスープを頼むのが定番になっていて、今でもパリへ行ったときはよく食べます。日本は出汁をひく文化が定着していますが、魚介を使ったフィッシュスープのような出汁の効いたスープを海外で食べるとほっとしますね。中国の酸辣湯も大好きで家でも時々作ります。

スペインで感じた日差しの強さと色彩の鮮やかさ

──モデルの世界に魅せられたきっかけや、その道に進もうと思われたエピソードを教えてください。

モデルの仕事をスタートしたのは高校2年生になる前の夏休みの頃です。以前モデルをしていた従姉妹が知り合いの事務所を紹介してくれたのがきっかけで、雑誌「MCシスター」の専属モデルやCMのお仕事を始めるようになりました。けれど、大学までは学業優先で休みの日にお仕事をするようなスタイルでしたし、その当時はモデルではなく語学を活かした仕事に就こうと考えていました。20歳のときにMTVのVJのお仕事をいただいたのがきっかけで英語を使った仕事を経験し、少しずつ仕事の幅が増え興味も出てきました。大学卒業のタイミングで現在の道に進もうと決めたのです。

──モデルのお仕事のほかにも絵本や執筆など、クリエイティブに向ける情熱を感じます。

お仕事に関してはどれも自分の好きなことの延長だと思っています。自分自身が好きなことに強い興味を持ち続けていることと、モデルを始めてから今までの人との出会いが合わさった結果が今のお仕事に繋がっていると思うのです。文章を書くことも全く経験がなかった当時、ある方から「書いてみない?」というお話をいただいた事がきっかけでした。

──仏像や東洋美術に造詣の深いはなさんですが、生活にどのように取り入れていますか?

私が会いに行くのは東京に(展覧会で仏像が)来てくれたときですね(笑)。そのほかお仕事で地方に行った際にも、滞在の空き時間をうまく利用したり滞在を少し延ばしたりして仏像巡りをしています。以前、仏像についてのエッセイを書いたときは短期間で相当な数の仏像に会いに行ったのですが、毎日大トロを食べ続けているような贅沢な感覚でした。今はあれこれ欲張ると時間も足りなくなるしそれぞれの記憶も薄れてしまうような気がして、できるだけゆとりをもって巡るようにしています。美術展にも「この1点だけ観たい」と出掛けたりもします。数多くの作品に触れるよりも自分が好きな作品にじっくりと向き合う、というように作品との接し方も変化している気がします。

──フランスやスペインなど地中海に縁のある芸術家で好きな人物はいますか?

かつてスペインにあるダリ美術館を訪れたことがあります。正直、ダリの作品は個性の強さに少々圧倒されてしまうのですが、スペイン現地で観る作品は太陽の日差しが強いせいか、色彩の鮮やかさが日本とは違うなと感じました。美術館のユニークな佇まいも街並みに馴染んでいたのも印象的でした。パリに滞在していたときはピカソ美術館が好きでよく通っていました。個人的には絵画よりもお皿など陶器の作品に惹かれましたね。描かれているイラストがとても可愛らしいんです。彫刻の森美術館のピカソ館も大人になって改めて訪れてみると、子供の頃に気づけなかった新しい発見があってとても楽しかったです。

センスは意識すれば磨けるもの

──自身の感受性やセンスを磨くにはどのようにすればいいのでしょうか?

センスは意識すれば誰でも磨けるものだと思っています。私もモデルの仕事を始めたころは、雑誌やスタイリストさんのコーディネートを参考にしたり、当時流行っていたフランス映画を観て勉強していましたね。そうすると年齢を重ねるうちに自分に似合うものが直観でわかってくるんです。女性はかわいいものに敏感に反応できる生き物だと思うので、「かわいい」を発見する瞬間にひとつでも多く出会うことで人生が豊かになります。自分なりの感受性を大事に育んでほしいですね。

──現在一番興味があることや、今後取り組みたいことがあれば教えてください。

今は新しいことにチャレンジするよりも、自分が身につけたものをより深めたいと思っています。例えば着付けもせっかく習った技術を磨きたいし、フランス語も使わないままだと、どんどん錆びてしまうなと感じることが日常の中にあって。今はそういう機会を意識的に作るようにしています。

──はなさんご自身の原動力はなんですか?

「楽しい」ことに突き動かされます。基本的にどんな分野のお仕事も大変ですが、モデルの現場は特に体力勝負の世界です。けれど仕事を通じて出会う人とのコミュニケーションの中や、数多くのスタッフと作品を作り上げる過程に本当の面白さがあり、物事の根底にある「楽しさ」を忘れない気持ちが、私にとって趣味も仕事も全力で取り組める原動力かもしれません。

はな

はなの好きなもの、好きなこと。[宝島社]

「hana’s style book」(宝島社)

モデル・タレント。神奈川県横浜市生まれ。2歳の時から、横浜のインターナショナルスクールへ通い、上智大学に進学。比較文化科にて東洋美術史を専攻。そのころから、仏像の魅力に目覚める。17才からモデルを始め、「non-no」などのファッション誌やCFなどで活躍をする。その後、テレビの司会、ナレーション、エッセイの執筆など活動の範囲を広げる。著書に、1年かけて書き上げた「ちいさいぶつぞうおおきいぶつぞう」(幻冬舎文庫)、贈るをテーマにしたお菓子作りの著書「おくるおかし」(集英社)、英語を使った絵本「tiki and dodo’s」シリーズも第四弾まで刊行している。英語、フランス語に堪能。趣味は、お菓子作りに仏像鑑賞。得意のフランス語を駆使して翻訳した、絵本「ルルちゃんシリーズ」3冊も好評発売中。現在、日本テレビ「夢の通り道」にてナレーションを担当。宝島社のサイトでは、日々の生活をブログにて、執筆中。
ファッションからライフスタイルまで全てが詰まった、初めてのスタイルブック「hana’s style book」(宝島社)を、2015年に刊行。

温野菜とチーズのブラウンシチュー

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