Soup Stock Tokyo

©中川真人(SIGNO)

Soup Friends Vol.39
雅子さん

数々の雑誌の誌面だけでなく、CM出演や国際映画祭の審査員など、幅広く活躍するモデルの雅子さん。透明感溢れる美しい肌と佇まいに思わず見とれてしまいます。一方でエネルギッシュに、しなやかに歳を重ねていく秘訣は、内面を磨いていくことだと語る雅子さん。大切な要素のひとつに、大好きな女優オードリー・ヘプバーンの存在と、彼女の主演作品である映画「ティファニーで朝食を」がありました。雅子さんご自身のふだんの生活と、オードリーに対する想いをうかがいました。

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──Soup Stock Tokyo(以下、SST)をご利用いただいたことはありますか?また、お好きなスープがあれば教えてください。

はい、よく行きます。海老のビスクが大好きです。おいしいスープとパンと、チーズさえあれば他にはなにもいらない、というくらいスープは好きです。身体にもいいし、自宅でもよく作りますよ。切って煮て、簡単にできてしまうところがいいですね。寒い日の朝食や、疲れた日の夜にもぴったりだと思います。夫には1~2品おかずを作りますが、私はスープだけで充分。沢山作って余ったら翌日にカレーにしてみたり、段階的にアレンジして楽しんでいみます。Soup Stock Tokyoで食べたスープも参考にし、なるほど、こういう味か、って自宅で再現したりもします。「あれ、ちょっと違うな、、とか(笑)」

──最近作ったスープはどんなメニューですか?ぜひ教えてください。

冬だと温かいスープですが、夏なら「ガスパチョ」をよく作ります。材料を切ってミキサーにかけるだけでとても簡単です。基本の野菜はトマト、ズッキーニ、パプリカ、玉葱、きゅうりに、お酢とオリーブオイル、ハーブの入ったお塩を加えて、あとはスイカを入れたりもします。甘さが加わるんですよ。玉葱だけちょっと電子レンジで温めると旨味がプラスされるんですね。あとは火を加えずにミキサーにかけるだけ。時にはトマトを多めに、時にはパプリカを多めに、と臨機応変に。トマトとスイカは意外と相性がいいので、夏のスープにピッタリです。家庭の味ですね、スープは手軽なところがいいですよね。

──その美しさを保つために、食生活ではどんなことに気をつけていらっしゃいますか?

基本的には自炊ですが外食もよくします。けれども毎日外食するわけではないので、外食するときは制限なく思いきり楽しみます。12時にデザートが来ても、もうそれは割り切っていただきます(笑)。家にいるときは、できるだけ早く夕食をとることを心がけています。寝る数時間前には食事を済ませ、眠っている間に胃の中を空の状態にしておくようにします。消化しながら眠ると身体にも負担がかかり、心地良い眠りにならないんですね。朝は一日のはじまりなので、朝食は必ずとります。少しお腹がすいて目覚めると、朝食をおいしく食べる。そうすることで身体と頭が整い、一日の行動を気持ちよくスタートすることができるんです。それから来年は、何か運動を始めようと思案中です。以前やっていたバレエを再開するか、または新たにヨガとか他の事を始めるか、考えているところ。

──モデルのお仕事をはじめられたきっかけを教えてください。

高校時代には原宿で髪を切っていたのですが、カットモデルを頼まれて雑誌に何度か出たという経験はあるものの、モデルになる気なんてまるでなかったんです。けれどもその流れで、事務所から声をかけられスタートしたのが19歳の時。当時は漠然と「手に職をつけたい」と考えていたので、モデルという仕事は身体を使う点が少々異なりますが、「自分自身でなければできない仕事」ができるんじゃないかなと。

──モデルは身体を使ったお仕事、と仰いましたが雅子さんご自身のパーソナリティそのものがご自身を形作っていると感じますので、身体だけではなく空気感や生活そのものがモデルのお仕事というような気がいたしますがいかがでしょうか。

良し悪しだなとも思いますけれど、今はある程度の共感を得ることも大事なのかなと思います。素の自分自身をさらけ出さなければならない部分もありますね。モデルを始めた当初に気づいたことは、日々の生活が表情に出る、という事でした。日々をどう生きているかが顔に出てしまう。表面的なケアをして磨き上げる事だけではなくて、「生活」をちゃんとしなければならないと考えるようになりました。若い頃は本当に忙しかったけれど、空いた時間を見つけては、大好きな映画を観たり本を読んだり、美術館に行ったり、短い旅に出たり、短期留学に行ったりしました。稼いだお金と、ある限りの時間をそこにすべて費やしていました。会社勤めではないので、昼間の空いている時間帯に映画を観られるんですね。「ぴあ」を片手に、どこで何を上映しているのかを調べて一日ではしごして回るとか、よくやりましたよ。今もまあ、その部分は続いていますけど。時間が空いたら仕事が終わったらアレを観よう、と計画を立てて。

──映画はお一人で観るのですか?

はい。誰かと観て、あのシーンはこうだったねとお互いに感想を語り合うのも楽しいのですが、一人で観るのもいいものです。映画を観終わった後、お気に入りの場所でコーヒーなんか飲みながら、余韻を楽しむ・・・・・(笑)。今はもうちょっと客観的に観ますけど、若い頃は本当に浸って感情移入したりしていました。当時は大きな手帳にお気に入りの映画のチケットやチラシを挟んでアートブックのように持ち歩いていました。全部エッセンスとして、すべてを吸収したい、すべてを感じたい、すべてを取っておきたいってね。20代はそうやって映画や本を絵などを通して、沢山のものをめいっぱい吸収していました。

──モデルとして歳を重ねていくことについて、どのように感じられていますか。

二十歳(はたち)くらいのときに、年上の女性に「20代の10年間をどう生きるか、が30代の顔になるのよ」と言われたことがあったんですね。それから30歳になったら、30代の10年間が次の40代の顔になり、同じように50歳の顔は40代の過ごし方によって変わっていき、ずっと死ぬまで一生続いていくと・・・。だから女性は常に「頑張る」というより、そのことを常に意識しながら生活していかなくてはならないと思うんですね。自分の今の顔は、これまでの毎日の生活によって形作られていくんです。モデルという仕事をしている以上、それがより顕著に出るし、やはり夢を届ける仕事だと思っていますので、個人的な悩み、悲しさ、辛かったことなどをブログなどで吐露するのではなく、できるだけ良い思いや、楽しい出来事を皆さんに提供できたらなと思います。そこに共感してくれる人がいたら嬉しいことですね。

──落ち込んでしまったらどうやって解消するのでしょうか?

好きな映画、好きな音楽を観たり聴いたりして、まずは気持ちを静めますね。そうすることで、「さて、どうするかな?」と考えることができるようになります。定期的に観返したい映画はいくつかあるし、どんな映画でも、観るだけですごく幸せな気持ちになるんです。観ている間の数時間は気分転換にもなるし、時には現実逃避にもなる。とにかく元気をくれるもの、それが映画なんです。

──オードーリー・へプバーンをお好きだとうかがいました。はじめての出会いはいつでしたか?

オードリー・へプバーンを嫌いという人はいないでしょう。彼女には、日本人女性が好きだと思う要素がすべて揃っています。華奢で、可愛らしく、セクシー過ぎない。 本当に可愛らしい女優さんです。小学生のときだったかな、TVの日曜洋画劇場で「ティファニーで朝食を」を観たのが最初だったと思います。当時は、宝飾店というと「ティファニー」の事なのだと思っていました。それから、このメインビジュアルは(ポスターにもなっているオードリー・ヘプバーンが黒いドレスを着ている写真を指して)ファションや、特にビューティーの仕事をするとよく撮影するイメージカットなんですね。典型的な「ビューティーショット」なんです。ですから私もオードリーに扮して撮影したことがあります。

──「ティファニーで朝食を」は数あるオードリー映画の中でもお好きと伺いました。

そうですね、オードリー映画の中でも大好きな作品ですね。オードリーの美しさも、凛とした女性を描いたストーリーもとても魅力的です。一番好きなシーンは、断然、冒頭のシーンです。ティファニーのショーウィンドウの前で、ドレスアップしたオードリー・ヘプバーンがデニッシュを食べる・・・。あのシーンは映画史にも残る名場面だと思います。それから、ヘンリー・マンシーニの音楽が素晴らしい。窓越しでオードリーがギターを奏で「Moon River」を唄うシーンが心に残ります。ラブコメの元祖といいますか、ストーリーが健全で結末もハッピーエンドが多い。逆に例えばフランス映画なんかだと平気で脱いで、男女を連想させるもの、難解なものも多いけれど、オードリーの映画はキスシーンさえも安心して観られて可愛らしさがあります。

──そのほかのオードリー作品でお好きなものは何でしょうか?

「パリの恋人(ファニーフェイス)」も大好きです。モデルは全員これを観ないとダメです(笑)。若いモデルさんたちはこの作品を知っているかしら? 私は映画をみ観て女優のしぐさや姿勢をひとつの参考にして、モデルの仕事に役立てようと思っていましたので、そういった観点でも見て欲しいですね。またファッション写真家のリチャード・アヴェドンが監修していたり、「ハーパス・バザー」の編集長だったダイアナ・ヴリーランドをモデルに描いていたり、何しろ舞台がパリだし!そしてジヴァンシーの美しい衣装も注目です。シャツのまくりかた、髪の毛を無造作に束ねるところ、ファッションの至るところに素敵なヒントが隠れています。

──オードリー・ヘプバーン自身に共感するところはどんなところでしょうか?

彼女の生い立ちがとても苦労しているというのは誰もが知るところ。なので、大変な努力家だったんじゃないかと思います。「ローマの休日」でアカデミー賞を獲って、究極のシンデレラストーリーを歩むわけですが、自分自身のことをきちんと見つめている人だったと思います。作品数はそう多くないですが。ある時潔く引退しましたね。きっと正直な人だったんじゃないかな。「女優=夢を与える」という仕事の中で、自分にできることの限界も知っていたんでしょうね。引退後はユニセフの活動に携わるなど、きっと生い立ちの影響なんじゃないかと思いますが、人々に優しさを持って尽くす人だったのかなと思います。

──フランスに住んでいらっしゃった頃も、映画をよくご覧になりましたか?

フランスでは映画はもっともっと日常的なものですね。時間が少し余ったからこれから観に行く? と気軽にある生活の一部という気がします。フランス映画について言うと、例えばビルが崩壊したり、エイリアンが出てくる、みたいな大袈裟なエンターテイメントを追求したいというより、日常の本当に些細なことをテーマに描くんですよね。今日のこの取材の、ここであった会話をそのまま映画にしてしまえるくらいの感覚です。そういう軽やかさ感覚がフランス人の感性を育てているのかなと思います。

──今後はどんな映画を観ていきたいですか?

これまでは趣味としての「映画」との関係だったのですが、最近は映画そのものが自分自身の一部となってきました。ライフワークです。以前は好きな映画だけを観たりしていたのですが、もっと幅広く、客観的に観るようになってきました。仕事がら、試写の案内など沢山のDMが届きますが、その中でもビジュアル的に印象に残るもの、醸し出す雰囲気や放つ空気で選ぶこともあります。もちろん、監督や俳優、また話題作などで選びます。SFはちょっと苦手かな、面白さが見出せない(笑)、やっぱり人間ドラマが好きなんです。

──映画に対する興味の源は何でしょうか?

映画には何かがあると信じているんですよね。もちろん夢があり、映画を通して知る喜びがある。知的好奇心です。知らない国へ行けたり、何かを経験したり、誰かに恋をしたり...。それから美しい映像、巧みな脚本、魅力的な俳優、その俳優を引き立たせる衣装、心に残る音楽…総合的な芸術でもあります。映画は誕生して130年くらいですけれど、ずっとみんなが作りたい、観たいと思っているもの、そういう魅了する存在なんだと思います。一方で、誰の手にも届く日常的な芸術でもある。映画の内容が「解る」、というより作品の中の何かがその人の中に、残像として記憶するんではないかと思っています。ある時ふと、それを思い出したり、そういう距離感で映画に接すればいいんじゃないかなと思いますね。

──雅子さんの活動の原動力は何でしょうか?

私にとっての生きる力、それは「もっと高く、もっと遠くに行きたいという想い」だと思います。モデルは夢を、美しさを届ける仕事だと思っているので、まずは心身ともに健康でなくてはならないですね。一方で、どんな人にも平等にやってくる「老い」とどう向き合っていくのか、これもまた考えていかなくてはならないこと。私は「老い」を何かで覆い隠してしまうのも、若作りすることも違うと思っています。日本はやっぱり、若さ至上主義なので「かわいい、若い」が最高の褒め言葉になってしまうんですね。でも高齢の方に「かわいい」は失礼になってしまいます。それより表面的な美しさに加え、内面から出てくる強さや逞しさが、これから先の美しさになってくると思います。日本女性はもっと自信を持ち、その歳相応の美しさに向き合って欲しいなと思います。その根本にある精神的な活力が私の中にもなければならないと思うのです。そしてこの先、明るい50代を迎えられるように、今までとは違うアプローチで身体作りもしていきたい、という課題もあります。内面の強さがしなやかさを生み、ナチュラルな美しさに繋がっていくのではないでしょうか。

雅子/まさこ

東京・日本橋生まれ
19歳でモデルデビュー。透明感のある美白肌で、多数の女性誌を中心にCM、企業広告等で活躍。また映画に出演する他、エッセイやコラムなども執筆。映画通としても知られ、映画評論も手がける。現在、映画サイト、シネマカフェでブログを執筆中。シネマ夢倶楽部推薦委員。

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温野菜とチーズのブラウンシチュー

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