Soup Stock Tokyo

Soup Friends Vol.37
服部みれいさん

時代の最先端にあるテーマに取り組み、質のある暮らしを提案するエコ・カルチャーマガジン「mur mur magazine マーマーマガジン」の編集長を務める服部みれいさん。読者と編集者の本音が混ざり合い、等身大の記事に共感が集まっているのも、彼女の好奇心と、行動力、常に敏感なアンテナがあるからこそ。物ごとの本質を見据える姿から、幾つもの生きるヒントがみえてきました。

──これまでに食べた「スープ」にまつわる特別な思い出はありますか?

スープの思い出は、本当に沢山あります! すぐに思い出すのは、ムング豆のスープのこと。イエロームング豆とショウガと岩塩、ギーだけでつくるアーユルヴェーダのレシピがあるのですが、そのスープには何度も救われました。以前、ものすごい料理上手な方たち……プロで活躍する料理研究家さんたちと各自料理を持ちよって食べるという、おそろしい会があって(笑)、何を作っていったらいいか悩んだのですが、このイエロームング豆のスープをもっていったら、大好評でした!イエロームング豆のスープは、アーユルヴェーダでいう「オージャス」(生命エネルギー)が高いレシピ、と言われているんです。技術を「オージャス」の力でカバーした(笑)という思い出です。

──スープストックトーキョーではどんなスープを召し上がりますか?

以前、かまえていた編集部の近くにあって、夜、仕事が遅くなったときに利用していました。 スープを飲みたいときって、こころもからだも「ほっとしたいとき」なんですよね。ぐったりと疲れているときに、助けられたことが何度もあります。海老のスープや、緑の野菜と岩塩のスープをいただいていました。

──忙しくても、ご自分の生活に取り入れて、「これは続けている」という食の習慣になっているものは何でしょうか?

そうですね……、ここ数年、パティシエ弓田亨さん(イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ)の“ルネッサンスごはん”にハマっていて、にぼし、昆布、鰹節などの乾物を使ってしっかり出汁をとるようにしています。特に出汁をしっかりとって作ったお味噌汁は……あたりまえですが……とーーってもおいしいんです。

──誰かに教えてあげたい、忘れられない「おいしかったもの」はありますか。

ある人生の大先輩に、“塩むすび”がすごいと教わって、「ここぞ」という時には作って食べているのですが、塩むすびは、どんな時でもおいしいなあと感じますね。特に、『マーマーマガジン』のイベントなどで、チームで何かする時に作って、イベントの前にみんなで食べるのですが、こう、みんなのエネルギーが自然にぎゅっと集まる感じがして、おむすびってすごいなあって思います。こういう時に作る塩むすびは、手に水をつけないで、お塩だけで握るんです。するとすごくおいしくなるんですよ。

──出版社勤務で編集者のお仕事をなさっていた時代から、独立してご自分の雑誌を作られた経緯において「発信しよう!」と舵を切られた決意や転機などがあったのでしょうか?

もともと育児雑誌の編集者をして、その育児雑誌は、とても自然派で、オーガニックな暮らしや考え方をベースにしたものでした。ただ、当時はまだまだオーガニックの世界というのは、ちっともおしゃれじゃなくて、伝わりづらいというか、どこか閉鎖的なところがあったんです。一方その後、ファッション誌でライターをするようになって、ファッションの世界はもちろんおしゃれだし、「伝える」ということに長けている。ただ、ファッションの世界には、当時、まだまだオーガニックの世界の考え方というものは知られていなくて……。その両方の仕事を経験して、いつしか、この両方をつなげたい、と思うようになったのです。目に見える世界と目に見えない世界を同じように表現したくなったというか……。

──“マーマーマガジン”は、「食」「愛」「自分自身」「冷え」「エコロジー」など、そこが知りたかったという等身大でありながら魅力的なテーマに取り組まれていると感じます。これらのテーマは、いつどのように、生まれてくるのでしょうか?

私の編集している雑誌『マーマーマガジン』はとにかく、ちいさく、ちいさく、作られていて、だから、生まれる瞬間も、とてもちいさい範囲から、なんです。編集部の半径3メートル以内、つまりは私や私のまわりの人たちの間で流行っていること、興味のあること、そういったことから生まれています。たとえば、ヨガのクラスへ行って、そこで会う友だちから、おもしろい知恵や情報をゲットするようなことってありますよね。そういう感覚で、雑誌や本を作っています。「ねえねえ、知ってる?」みたいな、ヨガのクラスのロッカールームでの、ちょっとした話題。そんな感じです。

──みれいさんからはいつも新しいジャンルのこと に「まずはやってみる」というチャレンジ精神のようなものを感じるのですが、「あるはず、と予測している未来を探り当てる」感覚なのでしょうか?それとも「見えない未来を発見する」感覚なのでしょうか?

両方あります! なんだか理由はよくわからないのですが、試す、ということがとにかく好きみたいです。試しても、自分に合わないな、とか、まだ早いな、とか、そういうこともいろいろとあります。

──みれいさんが纏っていらっしゃる空気感雰囲気、センス、こういったものを育てるためにご自分で意識なさっていることはありますか?

うーん、意識して何かをしているということはないのですが、人生の先輩がたであるとか、これまで素敵な生き方をしてきた人たちだとか、そういった方から、沢山のことを教わっているのだと思います。人を動かすのはやっぱり人、というか……。

──「書く」というお仕事について、そもそもの、「書きたい」と思う衝動について教えてください。

食べたい、とか、眠りたい、とか、歩きたい、とか、ダンスしたい、とか、そういったあらゆる衝動と同じことだと思います。書きながら、何か、自分の中を探っているのかもしれないです。自分を知りたいから、書いている、のかな。書くということは、自由に楽器を弾いたり、即興で踊ったりすることに似て、予測可能なところと、予測できないところがあって、それがたのしいですね。

──みれいさんの作品を、どんな人に届けたいと思っていらっしゃいますか。

読んでくださるなら、どんな方のところに届いても嬉しいです。私のほうから「こんな人に届けたい!」というのはないかもしれないです。

──ずばり、みれいさんの「原動力」はなんでしょうか?

問題というものがあるとして、それを思わぬかたちで解決してみたい、という欲求みたいなもの。

──今回「恋愛呼吸法」に取り組まれ、周りの方にも出会いや進展が見られたと、伺いました。「恋愛呼吸法」に挑戦されたいと思ったきっかけは何だったのでしょう?

ずばり、恋愛のことで困っていたからです(笑)!!

──呼吸法を実践して欲しい具体的な人たちはどんな人たちですか?

「呼吸法」ということであれば、あらゆる方に。現代社会のシステムの中で一生懸命生きようとすればするほど、呼吸が浅くなりがちだと思うんですね。何か自分の性格を変えようとか、人生を変えようなんて思っても、「じゃ、明日から」という風にはなかなかはじめられないものだし、そんなふうにできたら苦労はないですよね。でも呼吸なら、明日から、いや、今日から、いや、今すぐに、取り組める。しっかり息を吐いて、深い呼吸をしたら、からだも、心も、たましいだって変わっていける。これは、本当にすばらしいことだと思います。「恋愛呼吸」は、恋愛やパートナーシップについて、何か変えたいと思っているすべての方に実践してほしいです!

──Soup Stock Tokyoのご利用者の皆様へメッセージをいただけますか。

「もうムリ!」という状態になってからでも、必ず解決策はあると思っています。心でもからだでも、「ムリ!」というメッセージを聴くことができたなら、それを受け容れて、耳を傾けてあげる勇気をもてると素敵だなと思います。ひとりひとりが、自分に本当に正直になって生きるようになったら、実は、もっと誰もが生きやすい世の中になるのかな、なんて思ったりしています。自分自身って、自分で思っているよりも、実はすごいみたい。自分の中の一番うつくしい部分に気づけると素敵ですよね。そのうつくしい部分を、ひとりひとりがいよいよ発露する時がきた。誰かすごい人がいて、ヒロインだ、ヒーローだとあがめる時代は終わって、本当に、ひとりひとりが主人公になる時代だと思います。すごくおもしろい時代がはじまろうとしていて、その鍵は、ひとりひとりの手の中にあると、本気で思っています。自分自身を大切にしはじめると、そのことに気づけるようになると思います。

──最後に未来に向けての質問です。今、一番興味があることや気になること、取り組まれたいプロジェクト、またはとても気になる人物などがいらっしゃれば教えてください。

農業です。今いちばん興味をもっている農業について、取材を続けています。全部でなくて一部分であったとしても、自分の食べものは自分でつくる、そういう時代がやってくるかもしれないなと思っているんです。

服部みれい/はっとり みれい

文筆家、詩人、『murmur magazine』編集長。冷えとりグッズを扱う「mm socks」と本のレーベル&shop「mm books」主宰。忍田彩(ex.SGA)とのバンド「mma(ンマー)」ではベースを担当。『冷えとりガールのスタイルブック』(主婦と生活社=刊)ほか、ホリスティック関連の書籍企画・編集も多数。著書に、『なにかいいこと 自分をほどく知恵のことば』(イースト・プレス=刊)、『ストロベリー・ジュース・フォーエバー』(マーブルトロン/中央公論新社=刊)、『あたらしい自分になる本』(アスペクト=刊)、『オージャスのひみつ こころとからだの生命エネルギーを増やしてなりたい自分になる方法』(マーブルトロン/中央公論新社=刊)、『みれいの部屋 ニューお悩み相談』(主婦と生活社=刊)、詩集『甘い、甘い、甘くて甘い』(エムエム・ブックス=刊)、『あたらしい東京日記』(大和書房=刊)、『SELF CLEANING DIARY 2013 あたらしい自分になる手帖』(アスペクト=刊)、『あたらしい食のABC』(WAVE出版=刊)、『服部みれい詩集 だからもう はい、すきですという』(ナナロク社=刊)。近著に『自由な自分になる本』(アスペクト=刊)、『恋愛呼吸』(服部みれい、加藤俊朗=著 中央公論新社=刊)。

murmur magazine 

マーマーマガジンNo.19
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