私はいつもお客様の気持ちを想像します。
「今日はどのスープにしようかな?」
メニューの前で考え込まれているお顔を見て、何をおすすめしようか、想像を膨らませます。
「せっかくだから、おすすめのスープをいただきます!」お客様の表情が明るくなる瞬間には思わず私も嬉しくなります。
この会社に新入社員として入社して十年が経ち、これまで多くのスープに出会いました。出会った全てのスープに、嬉しい、楽しい、時には辛い、思い出が詰まっています。
体調が悪い日に食べたストロガノフが、体に染み渡るようなおいしさだったこと。
すこし疲れてしまった日の休憩時間、テイクアウトしたスパイシーカレーの蓋に、スタッフからのメッセージが書いてあって、食べる時に疲れが吹っ飛んだこと。
誰かの思いが込められたスープはご馳走で、それが一人の時間であっても記憶に残る食事です。そんなかけがえのない時間をお客様にも過ごしていただきたくて、私はお客様のお顔を思い浮かべながら、今日も気持ちを込めてスープを作ります。
最近、お子様向けのおもちゃや本を増やし、色鉛筆とスケッチブックもご用意しました。小さな常連様やそのご家族にも、そしてこのあいさつを読んでくださった皆さまにも「思い出のスープ」が増えていったらと思います。
本年もお客様にとって健やかな一年でありますように。